肝心なとこ書かないかもしれないけど許してにゃん 前半

<起床〜出発>

目覚めはさわやかだった。前日に酔っ払いまくってたとは思えないほどすっきりと目覚めた私は、やはり寝る前に水をグラスに2杯でも飲んでいたことがよかったのだと思い、やっぱり水飲めば大丈夫なんだ!といつかロクでもないことになりそうな二日酔い・必勝法に自信を深めた。
準備や仕度は昨夜のうちに済ませてある。とはいっても私の場合持っていく荷物はほとんどない。財布・ハンカチ・スマホくらいだ。だから最初は手ぶらで行こうかと考えたのだが、そうだ、一番大事なのは紫色のタオルだ!と思い直し、手持ちの中で一番小さな鞄で行くことにした。鞄があるので、モバイルバッテリーも一応詰め込む。充電はしてある。ソロ行動するとなれば当然スマホがお友達になる。暇な時間にレポも書いておきたい。そして私は超ド級の方向音痴なのでマップがないと、凍狂!狂った街!に飲み込まれてしまう(一応いっておきますが私が行ったのは福岡です)。私はまだ死ぬわけにはいかない。ここで死んでしまったなら、佳林ちゃんをはじめとするたくさんのアイドルが私の死を嘆き悲しむだろう。そして私という柱を失ったショートカッ党の行く末が案じられる。ショートボ部と手を取り合ってしまうかもしれない。それはダメだ。ボブはボブ。ショートとついてるので現在は友好関係にはあるけれど、もし合併したとして、すぐに内部で分裂してしまうのは目に見えているのだ。血で血を洗う仁義なき戦い。それはだめだ。そんな醜い争いを生まないために、ショートカッ党は気高く孤高であらねばならない。平和、友好、ドスコイ!ケンキョにダイタンな志を常に掲げて、まっすぐ純粋であらねばならない。例えば、ミルクを一滴でもいれてしまったら、そのコーヒーはカフェオレだ。味も色も変わっていないからこれはコーヒーだと人は言うかもしれない。だが、そうではない。時には過激といわれようとも、このくらいの厳格さを持って清廉にショートカットを守り愛でていくのが私たちショートカッ党なのだ。ところでショートカッ党ではショートカット好きなあなたの入党を常にお待ちしております。かなり厳しいことも書きましたが、ショートカットを愛でる気持ちがあるなら誰にでもその資格があります。アイドルちゃんの「ショートカットにしてみました」→「嘘ぴょーん!」という投稿にひとり胸を痛めてるそこのあなた、悲しみを分かち合いませんか。ここには仲間がいるのです。というわけで、誰でもないあなたからの入党希望の一報をお待ちしてますね。
話が変わってしまったので、本筋に戻す。紫のタオルとモバイルバッテリーを入れた鞄。そして大切にしまった封筒。その封筒を一度取り出して中身を確認する。三途の川を渡るときの渡し賃は六文だというが、このチケットがあればきっと間違いなく天国に行けると思った。私の手の中には、今日DRUM LOGOSで行われるJuice=Juiceのライブチケットがある。そしてHKT48の『12秒』の全国握手券3枚。そして私を福岡、いや天国に続く道の前に連れて行って、そして現実に帰してくれるバスのチケット。それから、私の中でなかったことにしようとしていた10/3付けの『12秒』の個別握手券3枚。その中の1枚「若田部遥」ちゃんの券が、色んな諸事情を経て、救済、つまり振替対応されることになったのだった。若田部遥ちゃんの券だけ持っていけばよかったのだが、なんとなく寂しい気持ちがして、山下エミリーちゃんと岡本尚子ちゃんの券も一緒に連れて行くことにした。私が本当に連れて行きたかったのは、ずっと守っていたかった券は「返金対応」という名の下に、私の手元に届くことさえなかったのだが、この事実はまだ燻る思いと共に出来れば三途の川に沈めたい。
自室の窓の鍵を閉め、一階に下りる。すっかり伸びた髪は寝癖がつきやすい。姿見で確認するとそれほど寝癖がついていない。すっかり乾いてから寝たのがよかったのだろう。思いを通じ合わせた相手と初めて体を重ねるときのように、喜びを胸に隠しながら、パジャマ代わりのTシャツと短パンを脱ぐ。そして丁寧に畳んでおいていた紫色のTシャツに袖を通す。ああ、この胸の底から湧きあがる震えるような思い。このTシャツを着ているときにもし私が死んだなら、それは殉死と呼べると思った。ぶるりと背中が震える。なんて、エクスタシー。そしてその上からヲタファッション代表とも言うべきネルシャツを羽織った。そして上からボタンを留める。この紫色のTシャツは私の信仰の証であり、それを無防備に晒すことはあまりにも粗暴で恐れ多いことだからだ。そしてジーパンを穿く。前回Juice=Juiceのライブに行ったときに私を救ってくれたクロップドパンツ(興味ある人は、http://d.hatena.ne.jp/kobenee/20150819 をどうぞ。ぜんぶ読むとなるとくそ長いよ)にしようかとも思ったが、なんとなく気分で今回は回避した。寝癖はそんなについていなかったとはいっても気になる部分がまったくないわけでもない。帽子をかぶるつもりだったのでそんなに念入りにすることもないのだが、ライブ中は脱ぐつもりだったので、そこそこ丁寧に髪を整える。よし。時刻を見れば7時ちょっと前。私は8時のバスに乗る。出るには少し早いかもしれない。しかしギリギリに出てもたぶんいい事はないだろう、なんなら駅前にあるジョイフルで優雅にモーニングをキメるべき朝なのかもしれない。そう思い直してさっさと出発することにした。今日は母上も泊まりで温泉にいってくると言っていたので、家の鍵を忘れることは絶対に出来ない。玄関においてある家の鍵、そしてそれにつけていた今日のために買ったイヤープロテクターのケースを確認し、キーホルダー先端のフックをベルト通しに装着する。これで完璧だ。外に出れば世界は薄い藍色に包まれている。もうすっかり秋だった。胸いっぱいに朝の空気を吸い込みながら車に向かう。駐車場は隙間なく埋められている。日曜の朝の目覚めは晩い。するりと車に乗り込みオーディオ機器にスマホを繋ぐ。ドゥルリン。エンジンの駆動音。ドッドッドッドッ。アイドリングの音が私の気分とシンクロする。さあ、今から私は行くのだ佳林ちゃんに会いに!ほどなくして流れ出してきた和太鼓の音。こ、これは、9/2にメジャーデビューしたこぶしファクトリーのみなさんの1stシングル「ドスコイ!ケンキョにダイタン!」うおおおおおおおおおパイルダァアアアアアアアオン!!!発進!!!!

<ジョイフル〜バス乗車>

しかしながら、こういうときは落ち着きが大切だ。いつも使う裏の細い道を避けて、あえて大きな国道を使った。地平線まで真っ直ぐ続く道路と点々とある信号はすべて青信号だった。車は一台もいない。夢の中なのではないかと思うほど不思議な静寂の中、車を快調にとばす。それからいくつか赤信号にひっかかりながらも、予定よりもずっと早くに駐車場についた。駅もといバス乗り場まで少し距離があるので、時間に余裕のあるときにしか使えない駐車場だ。その駐車場と駅のちょうど中間あたりに、我らがジョイフルが存在している。ここは私の知る限り最高の場所にあるジョイフルだ。ただそれは期間限定なので注意してもらいたい。駅前のジョイフルが最高に輝く期間、それは近隣の高校のテスト期間中の平日午後だ。このジョイフルの近くには三つの高校がある。そして電車でよその学校に通っている市内在住の学生も立ち寄る。つまり、このジョイフルはテストと戦う学生たちのひとときの憩いの場であり、作戦会議の場所なのだ。そして可憐なワルキューレたちはみな制服を着ている。土曜や日曜にめぐり合う私服を着た彼女たちはまったくの別物だ。制服。制服でなければならない。制服は邪魔などしない。邪魔をするのは私服なのだ。山盛りポテトを囲みながら談笑する制服姿の少女たち。鈴の鳴るような笑い声。最高かよ。最低4〜5種類の制服(夏服と冬服が混合する時期だとさらにバリエーションが広がる)を拝める最高のひととき。はぁ、ジョイフル最高!もう一つ言っておくと、ドリンクバーのカウンターに一番近い席に座れるとなおよし。ドリンクバーを取りに来るスカートの丈の短い女子高生の後姿を思う存分眺められるからだ。高校によって校則の厳しさがまちまちなので、スカート丈をはじめメイクや髪にいたるまで色んなタイプの女子高生を心行くまで堪能しながら飲むコーヒーはまさにこの世のネクタル。少々煮詰められすぎていてもまったく気にならない、甘美な味。このように時期を選んでいけば天国に一番近いジョイフルなのだが、早朝のジョイフルはまったく別の顔を見せる。常連と運営(店員)が癒着して、さも当然のような顔をして横行する一見無秩序な自治ルールが支配する世界。私はジョイフルに入るか悩んだ。バスの時間まではあと40分ある。駅に40分も潰せるような場所はない。ほとんど選択肢はないのと一緒だったが、少し逡巡し、そしてジョイフルの扉を押し開いた。いつも朝にいる店員さんが私の顔を一瞥し、好きなところに座れという顔をしてキッチンに消えていく。適当なところに座ると、カトラリーを持った店員さんがすぐにやってきたので、「モーニングエッグプレート(パン付)」を注文する。いつもは「豚汁朝食(ご飯・選べる小鉢・漬物付)」を温泉たまごの小鉢でオーダーするのだが、なんとなく今日は変更した。モーニングメニューにはすべてドリンクバーがついている。私はアイスコーヒーをつくり、グラスの中の氷をストローで遊ばせながらTwitterをチェックした。早朝なので店員さんは一人しかいないのだが、客はぽつぽつとやってくる。その対応に追われていたのか、それとも調理担当がのんびりと作業していたのか、二杯目に選んだホットコーヒーが半分ほどになっても、まだ注文した品がやってこなかった。このときの時刻は7時35分。私は8時のバスに乗る。最低5分前にはバスの発着場にいたいと考えると逆算して、あと15分しかない。これはもう最悪食べずにお金払って出るしかないかなと考え始めた頃、ようやく料理が届けられたのだった。7時40分。つまりあと10分で食べなければならない。食後のコーヒーを諦めて私は一心不乱に貪り食った。目玉焼きに味はついておらず、添えられたウインナーとベーコンの塩気か、レタスにかかったシーザードレッシングで食わなければならないのが地味に残念だ。目玉焼きには醤油派の私だったがそんなことを言っている場合ではない。あぁ、コーヒー飲みたかったなあと思いながらなんとか飲み下し、食休みをとることもなく慌しく会計を済ませた。ジョイフルは入り口に手洗い場が置いてあるので、そこで軽くうがいをし、そしてジョイフルを後にした。
バス乗り場に向かってえっちらおっちら歩く私。もしかしたらバスはもう来ているかもしれない。いや、大丈夫。たとえ来ていたとしても、定刻までは発車しないはずだ。だから大丈夫。そう言い聞かせて心を落ち着かせようとしていたが、これまで経験してきた数々の置き去りにされた瞬間がフラッシュバックして、私の歩く速度は増すばかりだった。そしてようやくバスの乗り場が見えたと思ったら、そこにはバスが。そしてもう乗客は乗り込んでしまったんだろう、周囲に誰もいない。そして外にいた運転士さんがバスに再び乗り込んだのが見え、ここで私の焦りはピークに。置いていかれたら(博多まで)新幹線で(行くことになる。その料金が)6000円!置いていかれたら新幹線で6000円!いやだ!絶対にあのバスに乗る!と気が付けば私は走り出していた。バスまであと10mと迫ったとき、再び運転士さん(女性だった。この路線だとわりと珍しい)がバスから降りてきた。私の無様な姿が見えたのかもしれない。ともあれ、私はバスのチケットを渡し、無事に乗り込むことができたのだった。ほっと胸を撫で下ろしながら自分の席に腰をおろしバスの発車を待つ。やはり定刻までそこに留まっていて、別に走らなくてよかったな…と噴き出る汗を紫色のタオルで拭いながら思った。いざ、博多へ。

<博多到着>

快晴。
気持ちよく晴れた空が私を出迎えてくれた。スクランブルを歌い出したくなるような澄み渡った空に私の気分は上々。バスは遅れることもなく定刻より少し前に博多バスターミナルに到着していた。さて、これからどうしよう。とりあえず聖地めぐりでもしようかな。これは福岡に行くことを決めてからずっと考えていたことだった。つい先日、こぶしファクトリーのみなさんが「だるま」にてラーメンを食べたというブログをあげていて、サインも飾ってもらえることになった!と初々しく喜んでいた。じゃあ、そのサインを見に行こう。それはヲタならば至極当たり前の発想だろう。
「だるま」ときいて思い浮かんだ店舗は二店。博多駅の中にある店舗と、本店だ。どちらの店舗なのか書かれていなかったので、とりあえず博多駅にある店舗に行ってみる。基本的に11時開店のお店が多いようで、どのお店も開店前の朝礼を行っている。宮脇咲良ちゃんが番組の企画でバイトしたという理由で利用したことのある「一幸舎」の前に「だるま」はある。もうすでに形成されている双方の行列を掻い潜るように表に張られたサインに目を走らせる。ない。どうもここではないようだ。私は少し残念に思いながらもすぐに踵を返した。Juice=Juiceのライブまでまだ余裕はある。だったら本店も覗いてみよう。何をしたらいいかわからないとき、どうしたらいいのか分からないとき、こんな風にアイドルは私たちを導いてくれる。それに抗うことなどどうしてできようか。混雑する博多駅を早足で抜け、私は天神行きのバスに乗った。

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後半に続く(と思います)