アイドルには絶対触れない約束

握手が終わった瞬間から私の指先は震え、私の手はいつもの私の手ではなくなった。
アイドルを触ってしまった。感触はいまだこの手の中にある。アイドルには絶対触れない約束が必要だと思った。アイドルに触るのは本当にダメだと思った。あんな、あんな、やわらかい手で、私みたいな汚いものは触っちゃダメだと思うし、アイドルのあの手は料理をしたり洗濯物を干したり、誰とも同じことをしているのかもしれないけれど、あの手の柔らかさとそれを持つアイドルは何をおいても守られるべき存在であると感じた。
そして彼女たちはなんて優しいんだろう。あのやわらかい手とあの優しい笑顔。握手をするってなんて仕事だろうと思う。それにも笑顔を絶やさずヲタに何かを与えようとする、ヲタが自分たちの傲慢で与えてやってるつもりのちっぽけなものでも大切に拾ってくれようとする彼女たちが本当にまぶしかった。
今はまだ自分の気持ちに整理がついてないのだけれど、今日行って良かったと思う。
いつも観ているDVDの向こう側の彼女たちがさっき私の目の前にいた。手を出したら両手で包み込んでくれて、彼女たちが手を広げて待っていてくれて、私がそこに手を差し出したらまた包み込んでくれる。私、ものすごくキモい人なんだけどそれでも彼女たちが超好きで、たぶんまったく伝えられてないんだけど、それでもありがとうって言ってくれて、まじで超好きで、本当に好きなんだけど、全然伝えられなくて、私の好きなんかいらないかもしれないけど、でも彼女たちの笑顔はそんな事言ってなくて、だから私は彼女たちがかけてくれた「ありがとうございます」を大切にしようと思います。いつか私の応援がほんの少しでも彼女たちの力になるときがくるように、これからも応援していきたいし、応援させていただきたいと思います。